隣のあいつ
あたしはただ頬を伝う涙を流しながら立っていた・・・。

ありえない・・・。

それから数日したある日。

冬真と階段ですれ違った。一階上の踊り場には前に冬真と付き合うことをとても嬉しそうに話していた女子だった。

その子の表情はもうすでにグチャグチャに濡れていた・・・。


この子も私と同じ・・・。

あたしはあの日、しばらくは恋ができないと思っていたんだ。

あまりにも辛すぎたから・・・。

最初は、彼方先輩のことを好きだったあたし・・・。

8年も彼方先輩にフラれ未練タラタラのあたしにあきれ先輩が冬真を紹介してくれた。

冬真はモテたけど、その時はすごく良くしてくれてあたしは未練なんて忘れるくらい冬真が好きになっていた。

だからOKをもらった時嬉しくて涙が出た。


フラれた後あたしは冬真ともう話す気はなかったけど・・・。


だけど、卒業式の日・・・。

「遥・・・。」

あたしの名前を呼ぶその人。
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