隣のあいつ
「冬真・・・。」

目の前に立つ冬真を見て少し足が竦む。

「あのさ、あんときは悪かった。俺さ、お前を困らせるつもりなくて・・・。馬鹿だった。マジわりぃ。」
冬真が頭を下げた。

「頭上げて・・・。なんで今更謝るの?あたしはあんたを許さない。」

冬真は顔を上げ堂々と前を見た。

「俺、今マジで失いたくない人がいる。あの時のお前にとっての俺みたいに・・・。」

「そんな人ができたんだ。良かったね。」

目に涙が溜まるのはなぜだろう・・・。
泣く前に行こう。
「ゴメン。あたしそろそろ戻るから・・・。」


走るあたしを冬真は呼び止めた。
「遥、俺が言える立場じゃねぇけど、幸せになれよ。相談に乗るから・・・。」
「うん、冬真・・・冬真先輩もね。」

最後にあたしは冬真を最高の笑顔で見送った。

これが遥の過去の話
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