夏の終わりに
「楽しい夏だったよ」
と、園田(そのだ)は先週、
愛を交わした後の少し淋しいような寛ぎの中で、
とても静かに言った。
その口調の静けさゆえに冷然とした事実が、
見えない壁のように突然出現した。
「夏の間だけ」
と、一番最初に彼は言った。
「家族が別荘から戻って来るまで、
僕はきみのものだ」
その後はどうなるの、
とクミはそのとき訊きそびれた。
オードブルが出始めたときに、
デザートを気にするような感じがしたからだ。
少なくともその時はそんなふうに思ったのだ。
と、園田(そのだ)は先週、
愛を交わした後の少し淋しいような寛ぎの中で、
とても静かに言った。
その口調の静けさゆえに冷然とした事実が、
見えない壁のように突然出現した。
「夏の間だけ」
と、一番最初に彼は言った。
「家族が別荘から戻って来るまで、
僕はきみのものだ」
その後はどうなるの、
とクミはそのとき訊きそびれた。
オードブルが出始めたときに、
デザートを気にするような感じがしたからだ。
少なくともその時はそんなふうに思ったのだ。