あいされたい
鞄をつかんで勢いよく立ち上がる。


この人に関わっちゃいけない!!!


あたしの本能がそう叫んだのだ。


ーちょっと待ったー!ー


あたしの鞄をつかむ金髪の変態。


ーい、い、今かえりますからっ!ー


ー………なんか俺、ワルモノみたいじゃね?ー


そうです!ワルモノです!だからその手を離してー!


きっとこのときのわたしは顔面蒼白で必死な顔をしてたに違いない。
だって必死だったんだもん。







ーさとしせんせー!そのひとかのじょ?ー







ん?どこかで声が


キョロキョロとあたりを見回してもあたしと金髪の変態以外誰も見当たらない。


ーち、ち、ちがうよ!たくま、おまえどこでそんな言葉を…ー


変態(もうめんどくさいから省略)が腰を屈めて目線を合わせた先には、黄色い帽子を被った男の子が立っていた。


ーさとし…せんせ?ー


この変態が先生???


ーうそでしょ…ー


ーせんせーかいじゅうごっこのとちゅうだぞ!はやくー!ー 


もうすでにあたしから興味が移ったのか変態にへばりつくたくまくん。


ーわーったよ!ちょっと待っててなーたくま
…てなことだから、まあいつもこの時間にこの公園いるからさ、あ、俺はさとし。おまえは?ー 


ーえ………あ、あいー


ーあいか!いい名前だなーー


ーおれたくま!!!ー


ーおまえもか!ー


ーぷっ…あははははー









そんなこんなで、これがあたしと聡の出会い。


変態だと思ってた、て言うと怒られるんだよね。


けどね。


こんなに笑ったの久しぶりだったんだよ?


聡はあたしの色のない世界に、いろんな絵の具を放り込んでくれた。








それなのに、今、あなたはいない。
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