あいされたい
まぶたを開けると、クリーム色の天井が広がっていた。


ーあい!よかったー!!!ー


そして次の瞬間、あたしの視界いっぱいにくまさんが迫っていた。


あたし…抱きしめられてる?


まだ意識がおぼろげだからか、今の状態を理解するまでに天井の小さなシミを数えてしまった。(合計6こ)


なんだか懐かしい匂いがして、ずっとこうしていたい、て思っちゃったんだよね。







ーあー!さとしせんせーがえっちなことしてるー!ー


こんなときでもたくまくんは期待を裏切らない。


ーた、たくま!せんせいはそ、そんなことしてないぞ!ー


ーどもりすぎ…ー


ーあ、あい!おまえ急に倒れちゃうからさ、急いでここに担いできちゃった!ー


え…担いで?


ーそしたらウーンウーンて唸って苦しそうな顔するからさ、やべ!死んじゃう!と思って必死に声かけたんだよねー


ー勝手に殺さないでくださいー


ーまぁーよかったよかった!な?たくま?ー


ーよかったな!あい!ー


ーあ、どうもー


2人の満面の笑みを見ていると、自然と顔が緩んでしまう。いかんいかん。


ーで、ここはどこなんですか?ー


ーここ?あー言ってなかったっけ?俺の仕事場でたくまの学校、わかば幼稚園!ー


ーへぇー
ってえーーーーーーーーー!!!よ、幼稚園??ー


ー他の先生に見つからずに担いでくんの大変だったんだぜ?ー


なんでそこ得意げなんですか!


ーあなた、幼稚園の先生だったんですか?ー


ーへ?あ、そうだよ?聡先生って呼んでくれてもいいけどー


ー呼びませんー


ーせんせーフラれてるよーー


ーえ、そうなの?ー









あの後こっそりたくまくんが教えてくれたんだ。


さとしせんせー、あいを起こすときいっぱい汗かいてたんだよ、って。


あのときは素直になれなかったけど、


ほんとにほんとにありがとう。
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