KILLER DOLL~君が教えてくれたこと~
昇は確認するように、そう呟いた
「…まだ、昇の大切な人はたくさんいるだろ?
あみ達の他にも、たくさんいるだろ?
落ち込んでても仕方ない
前向いて、歩くしかないんじゃないか?」
昇は大切な人が目の前で殺されてから、前に進めていないと思う
流れが速い、水の中で一生懸命進もうとしていた
だけど、あみがいなくなってから、進もうとするのをやめた
…そんな気がする
「…大切な人?
そんなの、もうこの世にはいないよ」
立ち止まって、ボーっとしている昇の背中を、俺は押してやる
別に、一人で進まなくてもいいんだよ
俺と一緒にゆっくり進んでいったらいいじゃないか
「だったら、俺がなってやる
昇の大切な人に。
だから、こんなところで落ち込んでないで、前だけ向いとけよ」
こういうことは、誰にも言ったことがないから、何て言ったらいいのか、よく分からない