思い出〜memories〜
「…佐藤さん?」


うずくまってから何分たったろう…。

私の頭の上のほうから、待ちに待った声が聞こえてきた。

「この真夜中にこんな場所で何をやってるの?」

優也君のその優しさと鈍感さに私は喜びと軽い怒りがまい上がってきて…体が勝手に動いた。

「さ…佐藤さんいきなりなにを……」

優也君が慌てるのもわかる。同級生の女の子がいきなり抱きついてくるのだから…。

迷惑なのはわかってる…だけど…今はこうしていたい。

私はこういうときばっかり自分の気持ちに正直になってしまう

「ゆうや君が心配で…私…私……」

そうもらしてしまうほどに…。

私はあまりの恥ずかしさに優也君の胸もとに顔をうずくめ、持てる限りの力で【ギュ】とした。
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