思い出〜memories〜
…何分たっただろう…


軽くふわりと抱き支えてくれる優しい彼と恥ずかしくてただ顔をうずくめているだけの私…

無言のまま時は流れ、この少しの時間がとても長く感じてしょうがなかった…

そんなとき、優也君は口を開いた

「何でそんなに泣いてるの?」

私は気が付かぬうちに泣いていたのだ。

優也君の一言を聞くと私はそくざに顔を上げ、眼の下の涙を軽く拭き、恥ずかしさのあまりなかなかでない声を振り絞り、喋る。

「あんまりにも…ゆうや君が遅いから…じ、事故にあったとか…何か事件…とかに…巻き込まれたとか…心配で…心配で…」

…そう言い終わると私は恥ずかしさのあまりまた彼の胸に顔うずくめてしまった。

しばらくの間は彼と私は無言でいた…が、少したってから彼は

「じゃああの手紙はもしかして……」

ゆっくりと…一言だけ聞いてきた…。

突然聞かれたため頭がついていかず、そのまま無言が続く…。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop