『縛』

使用の形跡が
殆どないキッチン。


キッチンだけじゃない。


昨晩は、遅かったし、
なんだか混乱してて
気付かなかったけど・・・


あんまり生活感がない。


「志央って・・・
ホントに、
ここに住んでるの？」

「え？なんで？」


変な事いっちゃったかな。

「あんまり生活の痕跡が
ないから、気になっただけ。
お部屋も、すごくきれいだし。」

「普通に住んでるよ。
でも、基本的に、ここには
ヒトを入れる事がないからね。
っと、インスタントだけど、
どうぞ。」

コーヒーの入ったカップを
渡してくれる。

ただの
言い回しだってゆうのに・・・

なんだか、
サラは特別だよって
ゆわれた気がして、
ドキドキした。

「ありがとう。いい香。」

平静を装い、
カップを受け取って、
香りを深く吸い込んだ。


「サラも一緒に住む？
部屋、空いてるし。
そしたら、生活臭
するんじゃない？」

彼は、ヒトの悪い笑みを
浮かべる。

「結構です。間に合ってます。
そんな事いってる間に、
対策考えないと、
ボコボコにされても
知らないんだから。」

眉をひそめたら、
手は考えてるって
彼はいった。