『縛』
念のために持って出た
携帯電話が、振動する。


着信・・・


登録してない番号


志央からだった。


「もしも・・・」
『いつまでもつったってたら、
風邪ひくぞ。』

受話器をあてた左側と
反対の耳に声が注がれる。

「ぇえっ・・?」


生暖かい感触と、
かかる吐息に
ビクッとした。


『遅い。ニーノに
拉致られたかと思ったよ。
行きたい所あるから
付き合って。』

彼は、
私のコートとバッグを抱えて
車に向かう。

「え?
ねえ、ちょっと待ってよ?!」


・・・お兄ちゃんといい


志央といい・・・


勝手なんだから・・・。



状況がわかんないよ。



 
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