『縛』
促されるまま、
車に乗り込む。



さっきまでの
流れが戻ってきたのか、
ものすごく奇妙な沈黙が
空間を満たす。


ダメ・・・


この沈黙に耐え切れずに
言葉を発した。


「あのさ・・・」

「ん・・?」


「どこにいくの・・・?」

「海」


海って・・・

そういえば、冬の海って、
いったことないな。


「よく行くの・・・?」

「うん。まあね。
気分転換にいいじゃん?
近いし。
今日なんて、部屋にいると、
ヤリたくなるだろ?」


反応を楽しむような
視線が送られる。


そこは、完全に
無視しておいた。


「で、お兄ちゃんと
何話してたの?」


「内緒。強いていえば、
サラが真性Mって
事かな。」

冗談めかして、志央は言う。


「はっ?!」


そういえば・・・

お兄ちゃんが、
志央は八割方
気付いてるって
いってた。

ヤバイ・・・

自分で墓穴ほってる。


「ニーノは、
肯定も否定も
しなかったけどね。」

志央は続けた。

「サラを、
アクセサリーみたいに
考えてるんなら、
付き合うなっていわれた。」

 


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