『縛』
 

なんだ・・・


意外に

普通の事


ゆってるじゃない。

ちょっと、ホッとした。


もっと、核心に
ふれたのかと思った。



「あいつさあ、
サラを抱けると思うなって、
言ったんだ。
俺が、ショック
受けるだけだから・・・って。」


「ふーん。そっかあ。」


多分、それは正解だ。

それ以上の、
コメントのしようもなくて、
左手の景色に視線を向けた。


30分ほど、車で走ると、
海が広がる。


さすがに、
サーフィン客もいなくて

荒れた波と、
それでも青い海と、
閑散とした砂浜が広がる。


だけど、結構いい。


「浜辺、降りてみるか?」


車を停めて、彼はいった。


「降りられるの?」


断崖絶壁っぽいけど。

浜辺は、数10メートル
眼下に見える。

「行けるよ。
寒いからコート着な。
風、きっと強いし。」

彼はニッコリ笑って言った。


急な坂をくだる。

ヒールだから、足がいたむ。

痛む爪先に堪え、
息を切らしながら、
10分ほど歩くと、
砂浜がひろがる。



「スゴイよ!!
砂が、真っ白!!」


うれしくなって
ヒールを脱いだ。




 
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