『縛』
 


「サラってさぁ。

俺の事、
なんだと思ってんの?」


はっきり感じる
怒りの感情。


まるで、私が、
何かしたみたいに
言う。


なんだか、

自分の気持ちが、
彼の想いと
リンクしてないと認識して、
涙がにじむ。


「他の子みたいに、
抱けばいいじゃない。

何、勘繰ってんのか
しらないけど。」

強い言葉が、口をついた。


絶対、泣かない。

ここで、泣いたら
子供と一緒になっちゃう。



あの人と・・・


結局、出来なかった事がある。


結婚も、そうだけど・・。


もっと、望んでいたのは


気持ちを共有する事だった。


あの人は、

私の想いの全てを、
受け入れてやるって
いってくれたけど、
現実は違った。


今まで、
軽い気持ちで、
散々不倫を繰り返してきた私は
相手の事情に、
立ち入れない事が
いっぱいある事を、
無意識のうちに理解していた。

だから、
色々聞かずにいた。


あの人に、自分の気持ちは
正直に伝える様にしていたのは
そうすれば、
応えてくれるようになるかと
思ったから。



あまかった・・・


あの人が守りたいものは
あの人を構成する
家族や社会であって


私なんかじゃ


なかった・・・



最初から



 

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