『縛』
いい年して、コンパとか
聞いてるこっちが、
恥ずかしいって。

あと2〜3本、
釘刺しとくかな。

「佐伯さんの彼氏、
私の知人なの。

中々いいオトコよ。

うちの殿方では、
無理だと思うな。

コーヒー、ごちそうさま。」

ゴミ箱にカップを捨てて、
相手に背を向けた。


「じゃあ、
鈴木でいいからさあ。
傷心の俺を慰めてよ。」

「ぁあ?」

呆れて振り返る。


ああ・・・ダメだ。


今の言い方って・・・


機嫌の悪いときの
お兄ちゃんに
そっくり・・・。

大体、
『鈴木でいいから』って
何だよ・・・。

もう少し言い方が
あるでしょうに。

「噂、聞いたぞ。」

ドキッとする。

「噂って、なによ?」

まさか・・・
あの人との事が、
ばれてるんだろうか?

私達は、随分こじれながら
関係を清算し、
彼は、その後、転職していた。

「お前、オトコ関係、
乱れてんだろ?」

奴は言って、
イヤラシイ笑みを浮かべた。

「・・・もしかして、
噂って、それだけ?」

隠しカードがないか、
確認する。

「え?・・ああ、うん・・。
そうだけど。」


 



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