『縛』
本気で、嬉しい。
飛び上がるほど嬉しい。
『あんたねぇ・・・。
会社に私用電話をしてくるって
社会人として、どうかしら?
それも、オフィスを語って
かけてくるなんて。
ホント、バッカじゃないのっ?!
鈴木さんを振り回さないでよね。』
呆れ顔の美穂に、喰らった
説教すら忘れるほど、
サラから連絡をくれた事が、
うれしかった。
何か、俺・・・
ガキみてぇ・・・
どこかで、冷めた目で、
自分をみている俺自身が、
そんな手放しで喜んでる
自分に呆れていて、
満面だった笑顔が、
すっと平素の表情に戻った。
「志央・・・?大丈夫か?」
いつのまにか、
録りを終えた山本が、
ドアの方から、不思議そうに、
声をかけてくる。
「えっ?・・大丈夫だけど
・・何で?」
「いや、百面相してたから。」
「・・・・。」
俺は、たかがメールで、
何でこんなに、
舞い上がってるんだろう。