『縛』
扉の閉まる
パタンという音が響き、
自分の世界から、再び
ひきもどされる。


「あ?山本、終わったんだ?
ちょ、飲みに行こうぜ♪」

タバコに火をつけながら、
元田さんが
事務所に入って来た。


「ォラオッサン!
ここ、禁煙だっつっただろ」

顔面に煙を吹っかけてくる
ギタリストに物申す。

咽の事があって、
俺はタバコを吸わない。

中学くらいの時は
ファッョンで
すったりしてたけど。

過敏に嫌いはしないが、
プロとして、適度にその辺は、
気にはしている。

それを知っているからこそ、
元田さんは、こうやって、
適当に俺をからかってくる。

「つぅーか、さっき、
うちあわせするって
ゆってたな。
曲順決めねーとマズイかぁ。」

彼は言う。



 




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