『縛』
「あ、そーだ。
今、下で、山本の彼女に
会ったぞ。
エライ美人連れてたけど、
あれ、友達?」

元田さんは、ニッと
笑って言う。

「あ、そうなんだ。
美穂、来てたんだ?」

言った、山本の言葉を
最後まで聞かずに、
俺は、部屋から
飛び出していた。

元田さんが、不思議そうに
呼び止めたけど、
止まらなかった。

俺の意思というよりは、
身体が勝手に走り出していた。


・・・連れって?


サラじゃないのか?!



一緒に来てたのか?



確認する方法も、
呼び戻す方法も、
いくらだってあるのに。


会いたい気持ちが
先に立って、


全く思い付かなかった。




 

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