『縛』
「も・・しも」

最後まで言わないうち、
玄関から、ノブをガチャガチャ
捻る音がする。


『俺、
あけて。
寒いし誰か来る!』

志央の小声が受話器から
きこえてくる。


「もう。」


こんな時間に・・・
こんなとこで何してんのよ?!


玄関の鍵とチェーンを開けて
ノブを回し少し引くと、
隙間からスルッと
彼は入って来て、施錠した。


「さみぃっ!!
凍死するかと思った。」

そういって、
抱きしめてくる彼の体は、
本当に冷たくて。


「冷たっ!!
いつからいたのよ?!
喉、潰してもしらないから!」

ホントに、今きたところだとは
思えぬほど、冷え切っていた。


志央に抱き竦められたまま、
お風呂場に向かう。


「重いよ志央」


くっついて離れない彼を、
引きずるように、
少しずつ歩いていく。


コイツ・・・
酔った振りしてるっぽいけど、
・・・実際どうなんだろ?


かかる体重が、身に堪える。



っと、違和感を感じた。


 



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