『縛』
新野 龍起−−−−
お兄ちゃんの名前。
日本人離れした顔立ち、
大胆な性格から、
外国人みたいに、
ニーノなんて
みんなゆうけど。
お兄ちゃんは
私にとっては、昔から
変わらぬ人だ。
優しくて
温かくて
桁外れに、わがままで
強い人。
今日、
ここで家に入って
私が聞かされる話は、
だいたい当たりがついてる。
やっと離婚する気に
なったんだろう。
私の成人を
キッカケみたいに
言い訳して、
乱れ切った関係を
清算するんだろう。
もっと早く、
離婚すれば
よかったのに。
その、放任な
うちの親に代わって、
私を可愛がってくれたのは、
お兄ちゃんと、
新野のおばさんだった。
ホントの家族みたいに
愛してくれて
時には怒られもした。
でも・・・お兄ちゃん。
私のことは、もう
いいんだよ。
放っておいて。
いいつけを守らず、
ここにいなかったら、
もっと怒られる。
ため息をついて、
お兄ちゃんが
出て来るのをまった。
「待たせたな。いくぞ。」
チビちゃんを置いて
お兄ちゃんが、一人で
でてきた。
「サラ、いくぞ。こいよ。」
お兄ちゃんが、
それだけ いって歩きだした。