『縛』
お兄ちゃんに
連れていかれたのは、
近所の河原だった。
奥さんが、
要らなくなったという
カーディガンを渡してくれ、
私はそれを腕にかけ、
持っていた。
多分、もらってくれたんだよね。
お兄ちゃん、ごめんね。
気を使わせて。
「で、いつからだよ?
そういうの。オトコだろ?
虐待じゃないしな。」
「入社・・・してから。」
お兄ちゃんの質問に
渋々答えた。
「入社って・・・
お前、高卒入社だろぉが?
結構な年数じゃねーか?」
お兄ちゃんは言って。
「うん・・・」
相手の素性と、きっかけ
今では、身体だけの
関係だって事を
手短に語った。
お兄ちゃんは、
珍しく黙って、私の話を
聞いてくれたけど
ため息を一つ零した。
「全く、お前は・・・
オトコ、見る目が無いな。」
そう、言い切る。
「軽いつきあいばっかで、
ちゃんと相手をみないから、
腐れ縁になんだよ。」
と、反省を促された・・・
そして
「サラ、その男、呼び出せ。
俺が話つけてやんよ。」
急に、そういいだした。
「え・・・?」
私は、焦って
言葉も続かない。