『縛』
「お前、それ、
縄のあとだろ?」

お兄ちゃんは、
上腕に残る痕に
目をやる。


私の髪を少し背に寄せて
肩と背中もチェックする。

「お前・・・」

さすがに、言葉が、
出てこなかったらしい。


そこに、一面にあるのは、
おそらく、今日
つきたての歯型や、爪痕だ。


爪痕は、

血が滲むほどの強さで
何度も擦られているから
痛々しく見えるだろう。


でも、その痛みを
思い出すと


今も、身体が甘く疼く。


あの人が与える痛みは


痛み=快感

いつからか、身体が
そう認識している。


私の背中や、乳房には、
新旧の爪痕が、混在して
タトゥーの様に残ってる。


「サラ、お前、
そんな抱き方されて、
気持ちいいのか?」


お兄ちゃんが、
半ば呆れた表情で
聞いて来た。


やっぱ・・・



普通じゃないんだよね



こんなセックス



こんな付き合い方も・・・



俯いた私に、
言葉が続けられた。


「人には、
嗜好ってのがあるからな。
お前が、それが快楽なら、
それはそれでいいんだよ?」


ただな・・サラ



 
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