『縛』
 

傷痕だらけの背中に
キスを落とす。


サラが、ビクッと
体をしならせた。


痛々しい事には
変わりないけど。

その背中は、
抱く前とは違って、
美しく見えた。


そこが、彼女の感覚器官だと、
否応なしに認識したから。



サラは、

ここが
一番、感じる。



だから、前のオトコは、
これほどの痕跡を
残したんだろう。


「志央・・・?」

目覚めたサラが、
潤んだ瞳を、
肩越しにむけてくる。


直前に聞いた、
そのオトコに対する
猛烈な嫉妬が沸いてくる。

その振り返った首を
左手で支えるよう掴み、
もう一方の手で、
肩甲骨を爪を立てて掴んだ。


「か・・はっ・・・」


刹那気な吐息が漏れる。


双瞳からは、涙が。


酸欠気味なのか、
開かれた口元からは
唾液が零れた。


「寝てる相手が、
俺だって

わかってるよなぁ?」


痛いはずの背中

苦しいはずの気管


なのに、サラは
明らかに感じている。


その乱れた表情に


ゾクゾクした。




 
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