『縛』
「何か、うまそうな香りがする。」

半時間ほどして
志央が起きて来た。


何作ってんの?って言って
背後から抱きすくめてくる。


「んー。煮物。
食べて帰るでしょ?」

あ?志央って・・
和食たべれるの?

思わず振り返る。

「和食、好きだよ。」
苦笑の志央。

「王道だった?
ごめん、ごめん。」

尋ねるまでもなく、
答えが返ってきて、
何だかバツが悪かった。

彼と佐伯さんが、
クオーターだとは
まあ、みたままで。

母親が、ロシア&アメリカ。
父親は日本人らしい。

「和食って、中々、
食卓にでなくってね。
コウジさんが作ってくれた時
感激したんだよな。俺。」

彼は、そういって。

そうなんだ。

じゃあ、せっかくだから
あと2品ほど追加するかな。

簡単なモノしか
できないけど。

彼に、してあげられる
ような何かって、
あんまりないだろうから。

 

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