『縛』
 
「あ。まだ、聞いてないか?」

奴は、俺の表情をみて
余計な事言ったな・・・って
舌をだす。

「何・・・だよ。
それ・・・?」

渇いた声が、
喉をついた。

「家族の話とかさ、
聞かなかった?」


山本は、すっと
真剣な顔をして言う。


「いや。特に・・・。
何か、大分普通じゃねぇって
感じの事は、ゆってたな。」

「ああ、大分な。

サラってね、
中坊ん時から高校でるまで、
担任の家に
ひきとられてたんだ。」


それって・・・


こっちに越してから


ずっとじゃないか。



家庭内別居の強烈版?と、
いった感じらしい。


「親権も、引っ越す前の
隣家の人間がもってるとか、
嘘か本当か噂が出回ってたし、
相当なんだと思うよ。」


・・・・?


・・・あっ!!


「・・・ニーノか!?」


俺の中で、全てが
つながった気がした。


ニーノの過保護さとか。


サラが、俺が嫉妬するほど
あのヤローに、
心を開いている事も。


一朝一夕で、
今があるわけじゃないと
改めて認識した。



 


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