『縛』
「山本くんってば、古い話
覚えてるんだねぇ。」


後日、彼女に真偽を尋ねた時、
サラは、そういって
笑っていた。


「親に腹立てたりしないの?」

どこか他人事な、サラを
不思議に思って問う。


二人とも再婚したらしいし、
自分に関係ない人達だと
彼女はいう。


・・・らしいって・・・


それすらも、
確かな情報じゃ
ねーのかよ。


「私にとって、家族って、
元々、新野のおばさんや、
理科の先生んち、なんだよね。

居場所も知らないし。

いまさら、
連絡とる気もないし。

向こうも、
適当にやってんじゃない?」


「ドライな奴・・・」


そう口にすると、
彼女はニッコリ笑った。


「んー、私は、
幸せだったからね。

イケてない親の代わりに
常に、親身になって
育ててくれる人が
いつも、いたからさ。」


そのコトバが、


サラの本心なのか、

そう思わなきゃって、
無意識のうち、
塗り替えたモノなのかは、
わからない。


でも、他人や、俺に対してすら
どこか距離をとっているのは、

オトコ関係だけの
せいじゃないと
確信した。


 
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