『縛』
玄関の扉の前に立ち、
ポケットの中の鍵を探る。


鍵を差し込みかけると
扉が、引かれ開いた。


「えっ・・・?」

志央、いたんだ?!


「おかえり♪」


なんだか、
そういって迎えてくれた
彼の満面の笑みを見て
心がキュッと、なった。


「あ・・・サラ・・?」


そういって、
背中に回された腕が
ソロソロと力を込めた。


自分が、

彼の首に、腕を
絡めたんだと知った。


「ベッド、いく?」


志央の、
照れ臭そうな表情が
可愛くて、
どうしようもない。


「書類書くの
手伝ってもらいたいから、
ダメ。」

さっきまで
面倒だとか思ってたのが
嘘みたいに、消え去っていた。


適当な事を言って
ごまかしちゃったけど。


自分の気持ちは、
ごまかせない。


志央が、
待っててくれることが、
こんなに、嬉しいなんて。


私は、初めて知った。



 

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