『縛』
「サラ。」

リビングから志央が呼ぶ。

「ん?」

部屋を覗けば、
自分の横にかけるように、
合図される。

「お前、美穂に、
コレもらったんじゃねぇ?」

そういって、苦笑混じりに、
用紙を差し出す。

「そう。美穂ちゃんだったら、
いらない説明しなくて
いいでしょ?」

手渡されたフォームを見て
絶句した。


「・・・

ほんとに、こんな所だけ
そっくりなんだから。」


思わず、つぶやいた。



「俺は、いいけど?」


彼は、口元に、ニヤっと
笑みを浮かべていう。


「バカ・・・。」


住所変更の用紙と一緒に
封筒に入っていたのは、
身上異動届けだった。


大体、何で
こんな難しい漢字が、
読めるのよ!?

そう八つ当たりしたら
彼は、クスッと笑って
英語で書いてるじゃんって
直ぐ下の小さな文字を指した。


・・・なるほど。

だから、姓名の変更にも
使うんだって、
わかったんだね。


 

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