『縛』
昼休み直前

総務課の方から、
悲鳴があがった。



あの声は、佐伯嬢。


思わず、ニタっと
笑みを浮かべ
首だけ振り返る。


みんなの注目を集めて、
耳まで真っ赤になってる。


自分が仕掛けた
イタズラなのに、
きっちり、引っ掛かって
かわいい奴め。


美穂ちゃんの入れてくれた、
身上異動届けに、志央が、
山本君と美穂ちゃんの
名前と住所を書いて、
逆にイタズラを仕掛けたんだ。


志央の予想通りだ。

笑いを耐え切れず、
涙がでてきた。


チャイムがなるなり
彼女はこちらに走ってくる。

手に、しっかり用紙を持って。

「美穂ちゃん、
お昼いこうか?」

堪らず、笑いながらいった。




「もお、驚いちゃったよ。」

ちょっと落ち着きを
取り戻して、
彼女はいう。

「ぷっ。私がやったんじゃ
ないも−ん♪」

涙を拭きながら言った。

「わかってますっ。

全部アルファベットで
書いてるし

サラさん一人だったら、
こんな事思い付かないハズ
だもんっ。」

 
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