『縛』
『なあ、彼女、同級生?』

『部署が違うから、
よくわからないけど、年上よ。
ってか、何でそんな事聞くの?』

不審げな眼差しが、
向けられる。

『え・・・?』

オレ、何してんだろ?

・・・美穂に突っ込まれて、
初めて気付いた。

『志央?』

『・・なんでもない。』


知って、どうする
つもりなんだよ。


あんなに、関わるなって目を、
彼女は、していたじゃないか。


『志央。』

美穂の言葉が、
思考から引き戻す。


『・・まさか・・


何もしてないわよね・・?』


コートの身ごろを、
ガシっとつかまれる。


『何もって?』


『あんたが、タブロイドに
書かれてるようなことよっ』

美穂が、胸倉をつかんだまま
詰問する。

『ああ。それなら、まだ
なんもやってないよ。』

いまのとこはね。


大体、外れてはないにしろ、
あんな誌面どおりの
人物じゃないって、
お前達が、最も
知ってるでしょうに。

あれじゃあ、
俺は、もはや獣だろう?


そんな事より、
何で、あんな風に
泣いてたか知りたい。

彼女は、
明日は、
笑ってすごせるん
だろうか?


 
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