『縛』
「んー。立ち入られたく
ない所から。」

彼は、言う。

・・・ご都合主義なわけだ。

こういう、わがままな奴って
たいてい、俺は、
ドSだとか、俺様とかって
いうんだよね。


その世界観を、
知りもしないで。

寝ぼけてんじゃ
ないわよ。

「じゃあ、サラは?」

「え・・・?」

考えに耽っていたら、
突如、話題をフラれて、
思わず、聞き返した。

「サラのプライベートって、
どこから?」

そんな事、考えた事がなくて、
答えに困る。

強いていえば、
個人的な付き合いを、
言うんじゃないだろうか?
公から、離れた世界を。

そういう内容を伝えると、
彼は、ニッと笑った。

「一緒だよ。

ただ、世間の眼に
さらされる範囲が広いだけ。
今日でいえば、
美穂んち訪問までは公式。」

「じゃあ、携帯の相手も
そこに含まれるの?」

自分本位な言葉だよ。

「相手の子が、
本気だったら・・・
どうするの?

本気になった方が、
悪いの?」

いつぞやの、自分自身を
重ね合わせた質問を、
口にしていた。


志央が、カップを置き、
すっと、私を抱きしめた。


 
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