『縛』
・・・かつて、
愛した男がつけた、
調教の痕。
愛は消えたのに・・。
身体中に残る
その存在は、
消えない。
タトゥーのように。
愛と、調整された痛みと
卑屈な想いが、いつしか
快感に繋がっていた。
いつのまにか、
快感=戒めに繋がり・・
私の感覚は、
再構築されてしまった。
その感覚は・・・
相手と訣別し、
他の誰かを愛しても、
崩れることがなかった。
セックス中も、
アノ人じゃないと、
満足できないのか?と、いう
不安に見舞われる。
何とも言えぬ、枯渇に悶絶し、
身体が満たされぬ不満に
まだ、
あの関係が、
終わっていないんだと、
否応なしに知らされ、
絶望感に、うちひしがれた。
志央には・・・
言えない。
まさか、
そんな、抱かれ方を
してきたなんて。
まだ、無意識のうち、
本能が、求めてるかも・・・
なんて。
調教とは、
うまくいったもので・・・
あの日、
あの人と、繰り返した
情事は、
確実に、
私を塗り替えていた。