『縛』
劣化した五線譜

何度消したか知れない
消しゴムのあと・・・

「アレンジ譜だね。」

なんだか複雑な表情の
コウジさんから、
スッと、譜面を取り上げて、
ピアノに向かう。


ワンフレーズ弾き出してすぐ、
コウジさんは、何とも言えない
表情をした。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。
ちょっと、一本電話してくる。」

彼は、明らかに、
何かありそうな雰囲気で、
そういって、携帯をひっつかみ
部屋を出ていった。


何か、気になる。


サラの所有物から、
出て来たモノを見てってのが
尚更ひっかかる。


まさか、


また知人だとか・・・




漫画みたいな事



いわないだろうな・・・。



そんな事が続いたら、



絶対、運命だって、


思い込んでしまいそうな、
自分が怖い。



気になる。

スゴく、気になる。



こんな褪せた譜面だけど。


何かがリンクしてる様で
ものすごくひっかかる。


新曲の手直しだってのに
集中力すら欠いてしまう。


 
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