『縛』
「志央、これ、
かけてみていいか?」

一通り作業を終えて、
楽器を片付け終わった
コウジさんがいった。

さっきのアルバム。


俺は、名も知らない
バンドだった。

山本も初耳だったらしく、
オッサン達・・・もとい、
コウジさんと元田さんに
付き合う事にした。

スタジオ中に響く、
少し篭ったような
アナログ盤特有の音。

単純なコード編成だけど、
なんかロック感が溢れてる。

「グラムロックだよ。」

コウジさんがいう。
有名なところを、
いくつか名をあげてくれた。

「ちょっと、他と毛色が違うね。
俺、好きだ。これ。」

言った俺に、
彼は苦笑した。

「だと、思うよ。」

コウジさんが続ける。


「全く、どういう経路で
手元にきたんだって、
さっきは驚いたけどね・・・

これ、俺達が
始めて耳コピした曲でね。

その譜面、
ニーノが書いたんだ。」


えっ・・・?


嘘だろ・・・。


また、


ニーノかよ・・。



俺は、
元An-sのボーカリストと
比較される事が多い。


ルックスとか、
声もだけど。

コウジさんと組んだ事も
影響が大きい。


 


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