『縛』
『用事があるから』
・・・常套文句を述べて、
皆より先に事務所を出た。

さすがに、
俺、混乱してるよな。


イライラが止まらないない。

何に対して、
こんなイライラしてんのか、
解んない。

整理する必要がある・・・

いつもなら、
そんな面倒な事はせず、
適当に遊んで
気分転換するのだが。


それすらも気乗りしない。


だいたい、


ニーノと
比較されるのだって、


今に始まったわけじゃ
ないのに。

彼には、絶対
負けられないとは、
思ってる。

だって、当然じゃないか。


An-sが解散して
数年経過していたとはいえ
コウジさんを口説きに行って
たまたま一緒に飲んでた
元田さんの腕をも、
俺は入手した。

いわば、元々、
ニーノの
手持ちパイ職人だった人達だ。

そのテクを得ておいて、
失敗するなんて出来ない。

ニーノとは、いろんな意味で、
互いを刺激しあう間柄だ。

セッションだってやったし、
それを元にした
コラボLPだって発売してる。


・・・あれ・・?


奴とは、結構、
良好な関係じゃないか。


俺、ニーノに
苛立ってるんじゃないのか?





 
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