『縛』
流石に、ひとりで飲んじゃ
悪いよね・・・。

志央にも、缶ビールを渡し、
コートを脱いだ。


「で、聞きたい事って何?」

エアコンを調節しながら問う。

「ん?サラ、ニーノと
知り合いなのか?」

ニーノ・・・
なんだ、お兄ちゃんか。

「そうだよ。
さっきいったじゃん。
幼なじみだって。」

「え・・・?」

志央が、鳩マメを喰らった様な
表情をした。

「何?誰かになんか聞いたの?
妬いてんの?」

机に突っ伏した志央の
後頭部をつついて、
おちょくる。

その手を掴まれた。

「妬いてるよ!

・・・アイツと、それ以上に
なんかあんの?」

拗ねた声。

こういう所は、かわいい。

思わず、笑みが浮かんだ。

「あるわけないじゃん。
オムツはいてる頃から
面倒みてくれてたんだよ?
志央なら、何かデキルの?
お兄ちゃんは、ああ見えて
普通のヒトだよ?」

「・・・それは、
身内びいきだって。
結構キテるから。あのヒト。」

・・・なかなか深い溝ね。

彼は、拗ねたままで。

・・・ある意味、
お兄ちゃんも、
身から出たサビだよね。


 
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