『縛』
なんで、
こうなるんだろ・・・?
小一時間ほど前のやりとりを
思い返しながら、
シャワーを浴びる。
やはり今日も、
食事中も片付け中も、
途切れる事なく会話が続き、
心地よい時間がすぎた。
私としては、時間も時間だし、
昨日も寝不足だから
早々に引き上げて欲しくて、
いつ話を切り出すべきかと、
頃合いを見計らっていた。
が、時を同じくして、
彼が口を開いた。
「じゃあ、そろそろ
いきますか。」
私の手首をつかみながら。
「え?」
彼は、自分と私のコートを
手に取り、イタズラな笑みを
浮かべる。
「サラ、鍵かして。
しめていかなきゃ
無用心だろ?」
「待って。私・・・」
「サラには選択権はないよ。」
すっと、その瞳が
真剣なモノにかわった。
私は、この色に弱い。
志央の瞳の色ではなく、
この、支配する者の目に
溺れてしまう。
そう
あの男に、
出会ってから・・・。
ビクンと体が震えて
喉がカラカラになって
言われるがままに、
着替えや身の回り品を
バッグに詰めて、
自分の部屋をでた。