『縛』
志央は、座り込んで動けなくなった私の髪を、ポンポンと撫で、バスルームに消えていった。


「もう・・・やだ。」


もう、彼は、
気付いているんだろうか?

私が・・・ちょっと
普通じゃ・・ない
・・こと。


だから


あの眼差しを

向けたのだろうか?



思考を奪いたい時には

こうして、

手首に爪痕を


残すんだろうか?



私は、

拒絶される事が
こわい。


今は、志央も、
理由は不明だけど、
私に興味を持ってくれてる様で。


だけど、

アノ事を知って、
白い目で見られる事も。

それ以前に、
関わりを拒まれたり
したら・・・


考えただけで
震えがくる。

いつまでたっても、
私の体から出ていってくれない
あの男の痕跡に、
心がしぼんで
いきそうになる。

前に進みたいのに、
うまく行かなくて。


 
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