愛は要らない


──ギシ・・・ッ


ベッドから降りれば、冷たい外気が足元を通り過ぎる


「冷たいね」

「・・・そういう関係ですから」


新品の服に袖を通せば、なんだか肩が重い気がする


「じゃあ、僕は仕事に行くよ?」

「・・・見送ります」


前髪をピンでとめて、寝室を出ていく遥の後を追っていく


廊下で働くのは、いわゆるメイドという職業の女性たち


「本来なら、君もあの制服を着てたわけだよね?」


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