愛は要らない


本はあまり読まないし、仕事も大抵、会社で終わらせてくる

書斎なんて、子どもの頃の遊び場か──


(女の子を親に隠れて家に連れて来るための場所だな・・・)


恥ずかしい過去だと、遥は苦笑する


────ガチャ


「・・・・・・お帰りなさい」


遥の存在に気づいて、綾野が本から顔を上げる


「こんな時間まで、ここに?」

「え?あ・・・、もうこんな時間・・・・・・?」


時計を見て、綾野は本を閉じる


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