愛は要らない
慌てて顔を上げれば、間近に遥の顔がある
「行こうか?」
「・・・・・・・・・・・・はい」
渋々、綾野は差し出された遥の手を取った
女性の服を選ぶのは、好きらしい
そう、店の店員が教えてくれた
「よく、来られてますよ~?」
笑う店員の言いたいことは分かる
(私以外の女性と、よく来てるのよね)
気にすることではない
男女の関係ではないのだし、遥が恋人をつくっても、綾野は無視しなくてはならないのだから