愛は要らない
愛は言えない
車が止まったのは、日も沈んだ頃
辿り着いたのは、遥の祖父・丈之助の住む別宅
(明かり、ついてない?)
「お祖父さんは、この間のパーティーが終わってからすぐに、旅行に出かけたよ」
鍵を開けて、遥は家に入る
「お邪魔します・・・」
恐る恐る中に入り、綾野は遥の後に続く
「・・・遥?」
ようやく声をかけて、遥が振り返る
「産婦人科は?」
「え・・・?」
「行ったの?」
「行ってないです・・・」