愛は要らない


楓が、遥の薬指を指差す

輝くのは、銀色のリング


「・・・結婚、したの?」

「・・・・・・あぁ。つい、最近」


遥は照れたように笑い、指輪を指でなぞる


「・・・時間ある?」

「・・・・・・?」

「久しぶりの再会じゃない。飲みましょ?」


昔と変わらない、懐かしい笑顔


「・・・そう、だな。おごるよ」

「当たり前でしょ?西園寺専務!」

「知ってたのか?」


驚いた顔で、遥が楓を見る

楓が渡米してから、随分たつ


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