愛は要らない
カップを置いて、楓は遥に向き直る
「一応仕事中だからね」
「仕事が終わったら、飲みに行きましょう?待ってるから」
遥は仕事に取りかかろうと、椅子に座る
「駄目だよ」
「何故?」
「綾野がつわりで苦しんでるんだ。僕だけ楽しむわけにはいかないよ」
ファイルを開き、パソコンの電源を入れる
「つわりは妊娠にはつきものよ?貴方が傍にいて、どうこうなるものではないでしょう?」
「そうだね。じゃあ、僕が早く綾野のもとに帰りたいから。それならいいかな?」