愛は要らない
日付が変わろうとしている
時計を見て、遥は脱いだ上着を手にとろうとする
「・・・・・・帰るつもり?」
「送ってくよ。行こう」
楓に声をかけるが、楓は動こうとしない
酔って立てないわけではないはず
「・・・・・・トイレに行ってくるから、それまでに帰る支度をしておいて」
去っていく遥を見送って、楓は遥の上着に手を伸ばす
「・・・笑っちゃうわ。煙草は吸わなくなったのに、服の好みは変わってない」