愛は要らない
「綾野さん」
「奥様・・・」
優しい笑顔が、綾野を見つめている
「まぁ・・・。遥はどこへ?」
「知り合いの方のもとへ・・・」
答えれば、舞子の顔が悲しげに揺らぐ
「あの子ったら、妻を連れて行かないで・・・」
「構いませんから。奥様も、私のことは気になさらず・・・」
「綾野さんに、紹介したい方がいるのよ」
綾野の言葉など気にせず、舞子は綾野の手を引いて、歩き出す
「お前が結婚なんて・・・。独身を貫くと思ってたよ」