愛は要らない
揺れ動き、消えて行く
今朝になって、遥が慌てながら寝室の中を歩き回っていた
「何をしてるんですか?」
「携帯を知らないか?ないんだ」
スーツのポケットを何度も見ながら、遥は寝室に訪れた綾野に問う
「鳴らしたらどうですか?」
「やったけど、電源が入っていないみたいなんだ」
お手上げ、というように、遥はベッドに座り込む
「会社とか、落としたとか?」
「かもしれない。見つけたら、連絡してくれ。有沢くんか、会社に直接でもいいから」