愛は要らない


楓が差し出したのは、いつか見た誓約書

これがここにあるということが、語らずとも全てを知らしめる


「口止めさるてたけど、やっぱり言わなきゃと思って・・・」

「いえ。・・・わざわざ、ありがとうございます」


頭を下げて、綾野は楓の元を去った


「専務が知ったら、よりを戻すどころではなくなります、先輩」


傍で話を聞いていた結子が、楓の前に座る


「そうね」

「なのにどうして・・・」

「今まで安定した関係が狂えば、例え根本の原因が私だとしても、関係なくなるわ」


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