愛は要らない
綺麗な笑顔が、歪んで見えた
「だとしても、専務は先輩を許さないと思います」
「だから何?遥の隣に、あの子は相応しくないわ。5年前から、遥の隣はずっと、私だけよ」
醜い、と思った
今まで美しかったはずの楓が、一瞬で醜い【女】になった瞬間
それは、結子に真実を告げさせる勇気を削ぐほどに、醜いものだった
夜の暗闇が支配する寝室で、綾野は1人、手の中の紙を見つめる
遥と綾野が、夫婦になるきっかけを作った、全ての始まり