愛は要らない


綺麗な笑顔が、歪んで見えた


「だとしても、専務は先輩を許さないと思います」

「だから何?遥の隣に、あの子は相応しくないわ。5年前から、遥の隣はずっと、私だけよ」


醜い、と思った

今まで美しかったはずの楓が、一瞬で醜い【女】になった瞬間

それは、結子に真実を告げさせる勇気を削ぐほどに、醜いものだった




夜の暗闇が支配する寝室で、綾野は1人、手の中の紙を見つめる

遥と綾野が、夫婦になるきっかけを作った、全ての始まり


< 259 / 331 >

この作品をシェア

pagetop