愛は要らない
いつになく、真剣な声の丈之助
「何か、あったの?」
『・・・・・・綾野さんが、流産した』
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
今、なんと言った?
理解できなくて、つい笑いが浮かぶ
『綾野さんが流産した、と言った。・・・今、病院にいる。来るのか来ないのかは、自分で決めろ』
祖父の声は、冷たく沈んでいる
それが、冗談でないことを語っている
『・・・綾野さんのせいではない。かといって、お前のせいとも言わん』