愛は要らない
【愛】故に、【愛】は去る
──────カツッ
───────カツッ
響く足音が静寂を破り、続いてドアが開く
暗く閉めきられた病室のベッドで、綾野が静かに目を開く
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
目があって、気まずく遥が視線を逸らす
「・・・・・・・・・明日も、仕事なんでしょう?・・・帰って、さっさと寝てください」
「綾野・・・」
微かに震える声に、遥は何も言えなくなる
泣いているかもしれない